ここはセントヘイブンの南西鍛冶屋のベリンの工房前
アクロ子「はあ~今日は大変な目にあったにゃ」
マセオ「お前結構丈夫だな」
噴水の前でエレナが魔法を使ったおかげで辺りは大騒ぎになっていた。マセオとアクロ子は混乱に乗じ中庭から逃げてきたのだ。
幸い爆発に巻き込まれたのはマセオとアクロ子のみで被害もベンチが2つ壊れただけで済んだ。
マセオ「しかし滅茶苦茶だよなアイツ」
アクロ子「アクロ子の乾燥バッタ全部吹き飛んじゃったにゃ」
マセオ「お前ポケットにバッタ直で入れてんのかよ」
アクロ子「ダメ?」
マセオ「袋くらいあるだろ?」
アクロ子「考えとくにゃ」
マセオ「じゃあな俺コッチだから」
アクロ子「うん、またね」
ベリン「おーいアクロ子」
声の方を見るとベリンが手招きしている。アチャ子とアクロ子はベリンとは親の代からの付き合いで、アチャ子は頻繁に弓の強化の為ベリンの元へ通っている。たまにアクロ子も同行していたが、その後のセントヘイブンでの買い物がアクロ子にとってはメインだった。
ベリン「お~制服がよく似合っておるが、埃だらけじゃのう」
アクロ子「色々あるにゃ」
先ほどの爆発音はベリンのところまで届いており、何かを察したベリンはにやにやしている。
アクロ子「それは何にゃ?」
ベリン「おお、これか?依頼されていたロングボウじゃ」
ベリンがロングボウに金槌を振り下ろすと火花が散った。
ベリン「…」
アクロ子「どうなったにゃ?」
ベリン「…失敗じゃな、強化に失敗はつきもんじゃはっはっは」
アクロ子「壊れちゃったにゃ?」
ベリン「いや、強化段階が少し下がっただけじゃ」
アクロ子はベリンとしばらく雑話した後家路についた。
アクロ子「ただいま~」
アチャ子「居るわよ…ちょっとアンタ埃だらけじゃない!誰が洗濯すると思ってるの!?」
アクロ子「友達出来たにゃ」
アチャ子「うそでしょっアンタに?」
アクロ子「アクロ子これでも人を引き寄せる魅力があるようにゃ!」
アチャ子「どうだかねぇ…それよりアクロ子に渡す物があったの」
アチャ子が台所のテーブルの上に置かれていた箱をアクロ子に渡した。
アクロ子「くれるの!開けていいにゃ?」
アチャ子「どうぞ」
アクロ子が箱を開けると中にはネックレスが入っていた
アチャ子「それで少しでも仲間の足を引っ張らなくなることを祈ってる」
アクロ子「アクロ子なら大丈夫にゃ!きっと班長になれるにゃ」
アチャ子「あらそう?じゃあこれは要らないわね」
アクロ子「あっちょっ…いるにゃ!」
取り上げたネックレスをアクロ子の首にかけてやる
アチャ子「ピッタリね」
アクロ子の首にはアチャ子が前回のケルベロスネストで入手した疾風のバイオレットネックレスが美しく輝いている。
アクロ子「ありがと…お姉ちゃん」
まだ寒い4月のセントヘイブンの夜
この日食べた夕食はいつもより一段と美味しく感じられた。
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