アクロ子「ねぇお母さん、アクロ子ドラネス学園に入ったにゃ」
「知ってるわよ、頑張ったもんねアクロ子」
アクロ子「友達も出来たにゃ……3人も」
「応援してるからね…アクロ子……起き…ろ」
アクロ子「え?」
アチャ子「おいっ!起きろバカアクロ子!!」
ガツン!
アクロ子「ったぁああ!」
アチャ子の拳が容赦なくアクロ子の頭に振り下ろされた
アクロ子「うぅ…いってーにゃ!」
アチャ子「はぁ…朝ごはん出来てるわよ」
アクロ子「お母さん…」
アチャ子「はぁ?」
アクロ子「今話てたにゃ」
アクロ子「…え? (しまった加減を間違えちゃったかしら)」

アクロ子「きっとドラネス学園に入れたお祝いに会いに来てくれたにゃ」
枕を抱きしめゴロンと横になるアクロ子を見てイラつくアチャ子。
アチャ子「また寝たら次はもっと強いのお見舞いしようかしら?」
その言葉を聞いたアクロ子は急いでベッドから飛び降り、いつものテーブルへ向かった。
朝食をとる2人
アクロ子「ねぇお姉ちゃんの友達の…えーと」
アチャ子「弓美子?」
アクロ子「じゃなくて~…髪の毛長くて…昨日弓美子ちゃんと一緒に挨拶したんだけど…え~と」
アチャ子「あんた短期記憶障害起こしてんじゃ……あっ」
アチャ子は自らの行いを心の中で少し反省した。
アクロ子「ミユちゃんにゃ!」
アチャ子「あ~ミユね…ちゃんじゃなくて「さん」ね で?」
アクロ子「どんな人?」
アチャ子「え?どんなって……注意散漫ていうか…いや天然…」
アクロ子「嘘!?すごく強そうに見えたにゃ」
アチャ子「そりょ強いわよ?アーティラリーの中じゃ弓美子の次かな?、でも時々周りが見えてな…あ~あんたにちょっと似てるわ」
アクロ子「ホントにゃ?へへ」
アチャ子「いや、やっぱ似てないミユは抜けてるとこあるけど成績は優秀だもん。あんたは抜けっぱなしだもん」
アクロ子「アクロ子は大器晩成にゃ」
アチャ子「あっそう、早く食べていきましょ」
朝食を終えるとアクロ子は行ってきますと一言残し家を飛び出した。
朝食の跡片付けを済ますとアちゃ子も行ってきますと誰もいない部屋に向かって挨拶をした。
通学路を歩くアチャ子が歩みを止めた。
アチャ子「そっか…もしかしたら本当に会いに来たのかもね」
当時セントヘイブン王国直属の近衛騎士団に所属していた両親が亡くなったのはちょうど今の時分だった。
アチャ子「(もう6年かぁ早いものね)」
拳をぎゅっと握る。
アチャ子「あぁ………嫌だ…不安定になる」
ためていた息をはき出すとアチャ子は再び歩き出した。
ほどなくセントヘイブンの城門を抜けたところでベリンに朝の挨拶をする。
アチャ子「ところで…」
ベリン「お~実はのぅ」
アチャ子が強化依頼していたロングボウは12段階から15段階までの強化が完了していた。
アチャ子「え?3段階も強化出来たんですか!?」
ベリン「ワシにかかれば容易いもんじゃ!ほれ持っていけ」
アチャ子「ありがとうございますベリンさん」
ベリン「頑張るんじゃぞ応援しとるからの~」
アチャ子「はいっ、ありがとうございます」
さっきまでの憂鬱な気持ちがすっかり晴れたアチャ子だった。
ベリン「何とかなるもんじゃのう」
昨日アクロ子の前で強化段階を下げてしまったロングボウこそアチャ子の物であった。
それが一晩で強化段階3も上昇したのは2人の背景を知るベリンの思いやりがあってこそだった。
多少身銭を切ったベリンであったが、アチャ子の喜ぶ顔を見ると「それがなんだ」と自然と思えた。
しばらく後、始業の鐘が鳴った。ドラネス学園の1日が始まる。
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